global icon

クリエイティブ

株式会社クープ 様

 

株式会社クープは、株式会社キュー・テックと株式会社ポニーキャニオンエンタープライズが合併し2022年10月に発足した新会社です。
発足にあたり、4K HDRグレーディングのリファレンスモニターとしてColorEdge PROMINENCE CG3146を導入いただきました。ご担当者に、選定理由などをお伺いしました。
 
 

株式会社クープ


 


株式会社クープ

左:テクニカル推進部スタジオ業務グループ カラーマネージメントスーパーバイザー 山井 哲也氏
右:テクニカル推進部スタジオ業務グループ テクニカルスーパーバイザー 今塚 誠氏
(感染症予防対策として、取材時はマスクを着用してお答えいただいています。) 

 

 

 

リファレンスモニターCG3146を導入したきっかけを教えてください。

今塚氏:これまで使用していた有機ELのリファレンスモニターの経年劣化が目立ってきたことと、色の見え方が正しく、安心感のあるモニターが欲しいということで検討を始めました。

これまでのリファレンスモニターの運用においては、全体に白を表示させた際や輝度の高いコンテンツを表示した際に、仕様上画面全体の輝度が落ちてしまい、正確な輝度でコンテンツを確認できないことがありました。きちんとした輝度で確認したいという思いがずっとありました。
その中で、「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のDolby Cinema作業時にCG3146を試用させてもらいました。

「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」での試用事例はこちら
 
 

株式会社クープ
 

使った感想としては、暗部もハイライトも再現性が非常に良いモニターと感じました。液晶パネルということもあり、やはり全体に白を表示させても輝度がしっかり出てくるという印象がありました。また有機ELで見てきた硬い画に対して、柔らかく、繊細な感じがしました。それがすごく印象がよかったので、買替え時期になったら検討しようと思っていました。また監督立ち合いの最終スクリーンチェックでも、スクリーンとほぼ同等に見えたという良い印象がありましたね。

CG3146を選定いただたいた理由を教えてください。

今塚氏:色々なメーカーの製品も検証しましたが、なかなか当社の要求に合うものがありませんでした。最終的に再度CG3146をお借りして数値的な検証や他社メーカーとも比較した結果、性能、金額においてもベストということで今回選定しました。

当社がHDRグレーディングをすることが多いのはアニメーション作品ですが、その制作会社さんはほぼ100%液晶モニターで作業されています。有機ELで見ると特に暗部特性の見え方が変わってしまい、映像の印象がかなり違ってきます。液晶パネルが採用されているという点も選定のポイントでした。

株式会社クープ

  山井氏:CG3146の前の機種であるCG3145の頃から、柔らかい印象の画作りで、パネルの表示特性が綺麗という印象がありました。特に、全体白を表示しても輝度の制限がなく表示できる点において、安心してカラリストに使ってもらえます。

あとは全体の階調表現・階調バランスが非常に綺麗ですね。測定した結果から見てもまったくズレがないので、本当に綺麗に表示が安定してくれますし、HDR(PQカーブ)でも綺麗に理論値に乗ってくれます。安心してマスターデータの制作に使えるモニターであると感じました。階調表現の安定性についてはCG3146に限らず、ColorEdgeシリーズ全般にもいえることですね。

今塚氏:カラリストの目で見ることも大切ですが、やはり数値も大切ですから。
きちんと数値的にもクリアしているので、安心して使えると計測して改めて実感しました。

山井氏:また内蔵のキャリブレーションセンサーとColorNavigatorで、短時間に設定目標が作れるのはありがたいですね。複数のプリセットが設けられているので専門的な知識がなくても設定できますし、他の業務用モニターに比べるとかなり使いやすいです。
設定画面も分かりやすく、設定の切替えや今の状態確認もしやすいですね。

今塚氏:納品先や作品によって扱う映像フォーマットが全然違うので、作業前はモニターの設定を確認することが必須です。今はSDRとHDRの切替えだけでなく、SDRの中でもDCI-P3やBT.709などカラーモードの設定変更があります。CG3146は設定メニューのインフォメーションから今の表示状態を確認できるので、とても安心ですね。

前機種CG3145も性能を評価いただきましたが、進化は感じられましたか?

山井氏:当社はコニカミノルタのセンサーを保有しているので、これを使って正確なキャリブレーションができますが、必ずしもそういった環境ばかりではないので、CG3146は内蔵センサーがある点で使い勝手がいいですよね。コレレーションしておけば、特定の外部センサーを基準にしながら、定期的に自動でキャリブレーションすることもできますしね。

今塚氏:言い方がおかしいかもしれませんが、CG3146は求めていたものがやっときたか!という印象でした(笑)嬉しかったですね。
柔らかい印象と、きちんと表示すべきところはしっかり表示できる性能を持っています。またCG3145に比べて、インフォメーションやボタンの使い勝手が向上しましたよね。CG3146で正しく見ること、この安心感が大事です。
 

株式会社クープ

Netflix作品「ULTRAMAN」におけるHDR表現に関して教えてください。

ULTRAMAN

『ULTRAMAN』シーズン2
©円谷プロ ©Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi ©ULTRAMAN 製作委員会2

  今塚氏:Netflixさんのオリジナル作品にはたくさん携わってきていますが、「ULTRAMAN」は炎や爆発などの光の表現が多く、HDR化したら面白いだろうなという印象がありました。炎の表現に手を加えることで、立体感・没入感・奥行き感を生み出しました。とはいえ、炎の面積が大きいので輝度は上げすぎないように意識して、目に優しいHDRを心掛けました。

アニメーションのHDR化は、もともとSDR/BT.709で色彩設計されて仕上がっているものに手を加えるので、ただ輝度を上げて光らせればよいというわけにはいきません。演出に合わせて、光の強さ・弱さ、拡散の仕方、スポット的な光を使い分けながらグレーディングしていく必要があると感じています。この作品はとにかく炎を綺麗に見せる、SDRと違う炎の見せ方をしたかったです。この重要な光や炎の表現も、CG3146ではしっかり表示できていましたね。
やっぱりCG3146はDolby Visionのリファレンスとして最終チェックするのに間違いなく良いモニターですよ。

 

株式会社クープ

今後の展望を教えてください。

株式会社クープ

  今塚氏:テレビの放映が今後どうなっていくかを注視していきたいですね。一方スマホで作品を見る人もかなり増えてきているので、その辺りも方向性を見ていきたいです。また旧作・新作含めてDolby Cinemaで見られるという作品がもっと増えてくれると、4K Ultra HD Blu-ray化にもつながっていきますよね。
HDRにおいては、制作現場にHDR視聴環境がなかなか浸透しないという課題がありますが、さまざまな作品に携わりながら、日本のアニメーション業界でのHDRの浸透に取組んでいきたいです。配信サービスではHDR作品が増えてきているので、アニメ制作会社とも情報交換や交流をしながら、我々でサポートしていきたいと思います。

 

山井氏:市場でHDRと言われ始めてから何年も経ちました。当社はHDRの黎明期であった2015年にHDR評価映像をリリースし、早くから取組みを始めました。現在では制作側のHDRの認知度はかなり上がってきています。一方でHDR表現にはまだまだ分っていないことが多いのではないかと思います。例えば、人の目がどういうふうにHDR表現を捉えているのかとか、どういう処理をしたほうが見やすいのかなど。そのあたりをもう少し深く切り込んでやっていきたいですね。また最近の表示デバイスは以前に比べて高性能化しているので、規格を作った当時と比べて見え方が変わったりしているのではないかと思います。HDRの画づくりがもっと効果的になるように、制作側のお手伝いをしていきたいです。

当社に対するご要望はありますか?

今塚氏:1000cd/m2がしっかり表示できるCG3146のようなHDRリファレンスモニターはどうしても高価で、製品の良さはわかるものの導入に踏み切れないプロダクションも多いです。CG2700Xも発売されたということで、今後も、手が届く価格でHDR表示や正確な色表示に優れたモニターに期待しています。アニメーション制作会社内でもモニター表示の統一が取れてないケースもあるので、EIZOさんにはカラーマネージメントの普及を頑張ってほしいですね。

山井氏:他社メーカーで発売されているような、小さいサイズのフィールドモニターがあればいいですね。モニター間の表示差異をできるだけ減らしたいので、そういったものがあればフィールドから最終工程まで一気通貫で安心して色の管理ができますね。
 

■ご協力
株式会社クープ
ホームページ : https://www.qooop.co.jp/

■使用製品
ColorEdge PROMINENCE CG3146

本事例の内容は取材当時のものであり、閲覧時点で変更されている可能性があります。ご了承ください。


導入事例
  • facebookアイコン
  • Xアイコン
  • youtubeアイコン
  • Instagramアイコン
  • rssアイコン